決めておくべきは大きく5つ。①葬儀・供養の方法/②住まいの片づけと遺品整理/③行政届出や解約などの手続き/④誰に任せるか(受任者)/⑤費用をどう用意するか。あいまいにしたまま契約すると、受任者が動けず希望どおりに進みません。
死後事務委任契約とは
人が亡くなると、葬儀の手配から役所への届出、住まいの片づけ、ライフラインの解約まで、数多くの手続きが一気に発生します。これらは通常ご家族が担いますが、頼れる身内が近くにいない場合、誰かに前もって託しておく必要があります。それを可能にするのが死後事務委任契約です。
ポイントは、受任者が動けるのは契約で定めた事務に限られるということです。契約書に書かれていないことは、たとえ善意でも代わりに行えません。ですから「何を決めるか」を具体的に詰めておくことが出発点になります。
決めること①:葬儀と供養の方法
まず向き合うのが、お見送りの形です。一般葬・家族葬・一日葬・直葬など、どの形式で行うか、どの葬儀社にお願いするかを決めておきます。あわせて、お墓・永代供養墓・合祀墓・樹木葬・海洋散骨など、納骨や供養の方法も選んでおくと、受任者が迷わず手配できます。希望する式のプランや概算費用まで契約書に書き添えておくのが理想です。
決めること②:住まいの片づけと遺品整理
賃貸であれば退去、持ち家であっても家財の整理は避けて通れません。遺品整理は亡くなったあと比較的早い時期に対応が必要になるため、どの業者にどう頼むか、貴重品や思い出の品をどう扱うかを、あらかじめ決めておくと安心です。片づけには相応の費用がかかるため、後述の費用準備とセットで考えます。
決めること③:各種手続きと費用の精算
目立たないものの数の多いのが、行政や事業者への手続きです。次のような項目を、漏れなく契約に含めておきます。
- 行政への届出:健康保険・年金・各種資格の停止など。
- 契約の解約:電気・ガス・水道・電話・インターネットなどのライフライン、各種会員サービス。
- 費用の精算:入院費・施設利用料・未払いの公共料金などの支払い。
「その他の希望」も忘れずに。受任者は書かれた範囲でしか動けないため、細かな要望こそ言葉にして残しておくことが大切です。
決めること④⑤:誰に任せ、費用をどう用意するか
最後に、受任者を誰にするかと、その費用の準備方法です。受任者は長期にわたり確実に役目を果たせる相手であることが望まれます。個人よりも、組織として安定して運営される事業者を選ぶと、担い手が途切れる心配が小さくなります。
費用は、預託金としてまとめて預ける方法や、保険を活用して備える方法などがあります。どの方法でも、必要な資金があらかじめ確保されていることが前提です。実行の段になって資金が用意できていないと、せっかく決めた希望も実現できません。
| 決めること | 主な内容 |
|---|---|
| ①葬儀・供養 | 式の形式、葬儀社、納骨・供養の方法 |
| ②片づけ | 依頼先、遺品や貴重品の扱い |
| ③手続き | 行政届出、解約、費用の精算、その他の希望 |
| ④受任者 | 誰に任せるか(安定して担える相手か) |
| ⑤費用 | 預託・保険などによる資金の準備 |